ねこのあしあと
にゃん。
「…………」
しまった。
目が合ってしまった。
あたしは今日遅刻したら追試が一つ増えてしまうのに。
にゃん。
やばい。あたしやばいぞ。
にゃん。
さっきから何にゃんにゃん言ってるの。
「言いたい事あるならいいなよ」
……にゃん。
ああ、もう。猫に八つ当たりするなんてあたし最低。
あれ、この猫首輪してない。それにしてはこの三毛の毛並みは最高。
思わず撫でたくなっちゃう。
「いいね、あんたは。学校なんてないんでしょ?」
猫と同じ目線に立ってみると、その三毛はあたしの足に擦り寄ってくる。
何。あたしが大の猫好きと知っての狼藉か。
見た目と同じく、三毛ちゃんの撫で心地はやっぱり最高。
ふにふにもふもふ。
猫、最高……っ。
にゃんっ。
あ、痛い!
腕時計咬まないでよ。それなかったら時間が……って。
「えぇっ!」
もうこんな時間!? うわ、完全遅刻。
どうしてくれんの、三毛ちゃん。
にゃんにゃん。
知らんぷりかい。
まあいいか。ゆっくり行こう。じゃあね、三毛ちゃん。
にゃん。
にゃん。
そっちは学校の方向……。もしかして前を歩いていくって?
にゃん。
「そっか」
じゃあ、学校までご案内して頂きましょうか。
にゃぁん。
ついでに、あたしの代わりに先生に怒られてくれないかな……。
にゃんっ!